【スターウォーズ】【ドラマ】アコライト第6話の所感・考察

シーズン1も終盤に差し掛かってきましたドラマ「アコライト」第6話についての所感です。

前話で入れ替わったオーシャとメイ。その後の展開が語られました。

ここからはかなり強烈なネタバレになりますので、 事前情報お断りな方は、ここで引き返されることをお勧めします。

目次

はじめに

「その後の展開」と書きましたが、実際のところストーリーの進み具合としては進展が少なく、時間がゆっくりと流れていました。

これまでがかなりスピーディーな展開だったこともあり、これは制作サイドの明確な意図によるものではないかと考えられます。
最終話に繋がる重要なテーマが今回の1話で語られているということでしょう。

タイトルは「指導/堕落」です。
対義語ではないものの、相反する概念として対比されています。

オープニングからのオーシャとストレンジャー

目覚めたオーシャは、ベッドに寝かされていることや傷が手当されていることに驚きの表情を浮かべる。そんなシーンから物語は幕を開けました。

生活感溢れる部屋の様子が映し出され、ストレンジャー(The Stranger-カイミールと名乗っていた人物)の居住空間であることが示唆されます。

部屋から出ると、すぐにストレンジャーが歩く姿を見つけますが、惑星の名前を示すテロップが「未知の惑星」(Unknown Planet)となっていました。
これは極めて不自然ですね。

前回の第5話までを振り返ると、登場する惑星すべての名前が明らかにされてきたからです。

既存のスターウォーズでもじゅうぶんお馴染みのコルサントは別として、以下のような惑星が明示されてきました。

第1話で登場した惑星

  • ウエダ
    マスター・インダーラがメイにより殺害された惑星。
  • カーラック
    護送中のオーシャが墜落した惑星。クローン・ウォーズにも登場。

第2話で登場した惑星

  • オレガ
    マスター・トービンがメイにより殺害された惑星。

第3話で登場した惑星

  • ブレンドク
    第3話のメイン舞台となる惑星。オーシャとメイの故郷。

第4話で登場した惑星

  • コーファー
    マスター・ケルナッカがストレンジャーにより殺害された惑星。

さて、ストレンジャーの生活拠点らしき今回の「未知の惑星」ですが、カメラをひいて島の全貌を写すようなシーンもあり、得も言われぬ既視感を持ちました。
スターウォーズ エピソードVIII「最後のジェダイ」で、ルーク・スカイウォーカーが隠遁していた惑星「オク=トー」にあまりに似ています。

スターウォーズ世界の生物中、最強にかわいい選手権の優勝候補筆頭であろうポーグや、ルークがブルーミルクならぬグリーンミルクを絞っていた首長のトドのような生物、タラ=サイレンは登場していませんが、景色は完全にオク=トーそのものに見えました。

あえて「未知の惑星」としていたり、誰もいない海にゴツゴツと突起した岩の風景を繰り返し映し出したりすることも、この説を後押ししているように感じます。

2024/7/5追記:「未知の惑星はオク=トーではない」とレスリー・ヘッドランド(Leslye Headland)監督が回答したそうです。
オク=トーじゃないんかーい!

話を戻し、オーシャとストレンジャー。
悠々と歩くストレンジャーを尾行するオーシャですが、これはまあ完全に気づいてるだろう、というお約束の展開。

まるで湯治場のような雰囲気でおもむろに服を脱ぎ、水の中に入っていくストレンジャーをしっかりガン見(監視)しながら近づき、ライトセイバーを奪うオーシャ。

やっぱり、という感じで後ろを向いたままのストレンジャーに話しかけられ、会話が始まります。

このあたりの一連の流れは、スターウォーズ エピソードVIIIでのレイとレンのワンシーンを彷彿とさせました。共通点は「服を脱いでいる」だけじゃないか、という見方もありますが。

二人のやり取りに再び目を向けると、緊迫した中にも、ストレンジャーの狂気や殺意のようなものは感じ取れません。
むしろ彼は至極落ち着いていて、オーシャに対して寄り添うかのような気遣いさえみせています。

オーシャの言葉を咀嚼しながら的確に弱点をついていくストレンジャーによって、オーシャの心の闇、葛藤を徐々に浮き彫りにしていきます。

パルパティーンが焦らず急がず、長い年月をかけてアナキンをダークサイドに誘惑したのと比べればほんの一瞬に過ぎませんが、これは彼の戦略としてのダークサイドへのいざないなのでしょう。

一方メイとソルは

落ち着き払った態度でオーシャをじっくり料理するような対応を見せたストレンジャーに対し、ソルはというといきなりのハグ。
完全にオーシャだと信じ切っている様子で、メイをしっかり抱擁します。

このシーンには心底驚きました。あまりにもジェダイ・マスターらしからぬ「感情的な」行動です。

ハグ中の台詞にも注目すべきものがありました。
ソルがメイに「お前に救われた」と言った後、「あの男がお前の姉を堕落させた」と続けています。
タイトルに使用されている2つの単語の内の片方「堕落」がここで使われました。

私が感じたこととしては、ストレンジャーが冷静にオーシャに接しているのに対し、ソルは感情的で、ストレンジャーへのあからさまな批判を口にしています。
どちらがジェダイなのかわからなくなるような描写で、これまでのスターウォーズではなかなか見られない切り口ではないでしょうか。

その後も二人のやり取りは続くわけですが、何度となくソルの過去について言及されるたび、コルサントからの通信や電源作動などの出来事が(ソルにとっては)タイミング良く起こり、ソルが隠している秘密の罪は一向に明かされず焦らされまくりです。
これほど引っ張るからには、「あっと驚くような内容だろう」とさらに期待が膨らむので、制作サイドとしてはハードルを上げに上げても問題ないだけの自信があるのかもしれません。

バジルとピップ

スターウォーズには、我々の銀河には存在しない魅力的な生物、ドロイドたちがたくさん登場します。
今回もご多分に漏れずバジルとピップという癒し系マスコット的キャラクターがいます。

しかし彼らはカワイイだけのマスコットではなさそうです。

スターウォーズ公式サイトでによれば、Tynnan(ティンナン)という種族であると説明されており、「ティンナン語」を使ってコミュニケーションを取ることもできるようです。

もっとも、ティンナン語を理解する登場人物は限られており、劇中ではヨードのみが理解できていた様子でした。

野性的な嗅覚で、オーシャに化けているメイにバジルは気づいていたはずですが、ヨード亡き後その事実を伝える術を持ちません。
また、ピップも同じくオーシャではないことに気づいていても、意思疎通できるのはオーシャだけなので、ソルに伝えることは叶いません。

二人(一匹と一体?)でメイに七転八倒の活躍で対抗するのですが、当然敵うはずもなく、ピップは初期設定に戻されてしまいました。
初期設定というのは、具体的に何がどのレベルで初期化されてしまうのか、そこも気になります。

これまでのメモリーが完全に消去されてしまいバックアップもなく、復旧不可能だとしたら、オーシャの手に戻った際に彼女はとてつもなく激オコですよね。いや、激怒する余裕すらなく悲しみに暮れるかもしれません。

一方的な想い

オーシャからのソルへの想い。ソルからのメイへの想い。
これらは一方的で、相手に伝わることのない「片思い」として描かれているように思います。

ジェキの命を奪ったことをオーシャに咎められた際、ストレンジャーは、オーシャがジェキに対して抱く気持ちを、あたかも恋愛感情を連想させるような表現で指摘していました。

「片思い」というシチュエーションは、思えばスターウォーズ エピソードIV「新たなる希望」から扱われていました。
レイアが妹であることを知らないルークが一方的に恋心を抱いていましたね。

他にもクローンウォーズではアソーカ・タノが、パドメの友人ミーナ・ボンテリの息子のラクサスに淡い恋愛感情のようなものを抱き、後に彼に恋人がいることを知って落胆するシーンがありましたし、シークエルでも、、と、これ以上挙げてもキリがないのでやめましょう。

この一方的な想いと関連させる意図があったのかどうかはわかりませんが、「一方的な解釈」という観点も描かれていたと思います。
「フォースは絶え間ない訓練によってのみ維持できるもの」というオーシャの主張を、ストレンジャーは「ジェダイの論理」とバッサリ切り捨てます。

アコライトは、これまでのスターウォーズでは描かれなかったジェダイの中の「闇」が随所に垣間見えるように感じます。

ジェダイと言えども人間であり、一括りに「ジェダイ」と言っても、フォースやその他の教義に対する解釈は個によって差異があります。
特に「執着を捨てろ」という考え方は、映画やアニメシリーズ、ドラマ、小説などを通して幾度となく矛盾、不条理、違和感というようなマイナスの感情を引き起こす、私にとってはそんな教義です。

おわりに

最終的には、ソルは話している相手がメイであることに気づき、気絶させて拘束します。(気づいたタイミングはいつなのか...)

比較しましょう。
最初からメイではないと気づいていて、意識のないオーシャを治癒して部屋まで運び、自分は無防備に水浴びしながらライトセイバーを持つ相手に落ち着き払って話を進めるストレンジャーと、なんとも対局にあると思いませんか。

第4話で、マスクの人物がカイミールなのではないかと予想した際には、正直なところ「ヴィランとしては物足りない」と思っていました。
しかし、第5話6話と観ていくと、カイミールとストレンジャーのギャップが凄まじく、物腰や存在感、風貌までもが別人に感じられ、今では非常に魅力的なキャラクターであると思います。

総じて、現時点でのアコライトで最大の個人的関心事は、ストレンジャーはシスなのか、という点です。
ストレンジャーには政治的野心が感じられず、シスにしては慈悲の心も持ち合わせているように思えます。
よって、予想としてはNoですが、仮にシスであり、さらにダース・プレイガスだったとしても、もうガッカリ感はありません。
むしろ、そうであってほしいという気持ちの方が大きいぐらいです。

最後になりましたが、第1話のレビュー時から楽しみにしていたヴァーネストラのライトウィップ。
蛾のようなモンスターを倒すのに一瞬しか使われませんでしたが、見ることができて興奮しました!

ストレンジャーに水浴びさせてまで見せた背中の傷跡。
あの十字傷をつけたのもライトウィップではないかということで、ヴァーネストラがストレンジャーのマスターなのでしょう。
次回以降の2人の絡みにも注目ですね。

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